インスタグラムに投稿した「勉強と音楽」の話について、もう少し詳しく解説してみようと思います。
科学的には、勉強中は「無音」がベスト
結論から言うと、勉強中の音楽はおすすめしないというのが現時点での科学的な見解と思われます。
というのも、「アップテンポの曲」「ゆったりした曲」「環境音」「無音」でテストを行った結果、「無音」が一番成績が良かったという研究があるんです(下記リンク参照)
たまに、「 カフェの環境音とか、穏やかなBGMならOK!」「(簡単な計算問題みたいな)単純作業ならBGMアリ!」みたいな主張もあったりしますが、実際のところは、無音がベストと言えるでしょう。
メンタルやスポーツには良いかも?
なぜ勉強中の音楽がNGかというと、BGMが
- 文章を読むプロセス
- 記憶力
- 脳の処理能力
を低下低下させるからでは?と考えられています。
ただし、一方で、メンタル面やスポーツには良い影響があります。
まあ、スポーツは文章を読むプロセスとかがないので、納得ですよね。
「じゃあどうすればよいのか?」ということなんですが、
勉強の10分前に音楽を聴けば集中力アップ!
おすすめは勉強の10~15分前に好きな音楽を聴く!という感じです。
これは、リカバリー理論(Recovery Theory) に基づいています。
イメージとしては、
- 好きな音楽を聴いてドーパミンを分泌
- ドーパミンで集中力アップ
- 勉強に取り組む
- 疲れたらまた音楽を聴いてドーパミン分泌
- ドーパミンで集中力アップ
- 再度勉強に取り組む
という流れです。
聴く音楽はどんなものでもOK
勉強前の音楽は自分の好きなものを選んでOK。むしろ、好きな音楽を聴かないと、ドーパミンが分泌されませんので。
余談:「モーツァルト効果」はすでに否定されている
ちなみに、勉強と音楽の関連でいうと、「モーツァルトの音楽を聴くとIQが上がる(モーツァルト効果)」が有名ですが、結論としてはほぼ否定されてる。
モーツァルト効果とは、ざっくり言うと
- 1993年、モーツァルトの曲(K.448)を聴くと、一時的にIQテストの空間認識能力が向上するという研究が発表された。
- これが「モーツァルト効果」として広まった。
というものですが、
- メタ分析(複数の研究を統合的に分析)によると、「モーツァルト効果」の影響はほぼ誤差レベルで、小さいことが判明。
- そもそも、モーツァルトでなくても、好きな音楽なら気分が良くなって集中しやすくなるだけ。
- つまり、「音楽そのものの効果ではなく、気分の変化が知能テストの結果に影響を与えた」という結論になってる。
という結論が得られております。
やはり、好きな音楽を聴いてドーパミンを出すのが一番良いということですね。
勉強前の音楽は習慣化にも役立つ
「この音楽を聴いたら勉強モード」という条件付けをするのもおすすめです。そうすることで、勉強モードに入りやすくなります。
「余計なことをあれこれ考えちゃう!」時は音楽が有効かも
一方で、「音楽を聴くと注意が分散される」という性質を上手く利用できるケースもあります。
それは、不安や心配事で頭がいっぱいの時です。
BGMには、マインドワンダリング(注意が散漫になる現象) を減らす効果があると言われています。
つまり、「無音だと頭の中でいろんなことを考えちゃう(リソースがある)けど、適度な音があると脳のリソースが分散して余計なことを考えにくくなる」
ということです。
こういうケースにおすすめなのは
- ホワイトノイズ・カフェの環境音
- 単調なインストゥルメンタル(Lo-fi、クラシックなど)
あたりが、マインドワンダリングを減らしつつ、集中力を維持しやすいです。
逆にNGなBGMは
- 歌詞のある曲(特に日本語)
- 感情を揺さぶる曲(思い出がある曲など)
こういう音楽は、かえって感情を大きくしてしまうので逆効果です。
ちなみに、自然音ならアリ?
ちなみに、音楽じゃなくて自然音なら良いんじゃないの?という話をしておきます。
自然音というのは、風の音や鳥の声みたいな、自然環境の音のことです。
実際、研究によれば、自然音は集中力を上げる!という結果が出てたりします。
Mind-wandering and alterations to default mode network connectivity when listening to naturalistic versus artificial sounds – PubMedNaturalistic environments have been demonstrated to promote rpubmed.ncbi.nlm.nih.gov
イメージとしては、
- 自然音を聴く
- リラックスする
- 集中力が上がる
みたいな感じです。
ただし、この研究によると、もともとリラックス状態にある人が自然音を聴くと、かえってストレスが増える!みたいな結果が出てたりするので、
使い方には注意が必要ですね。
ちなみに、クラシック音楽もリラックス効果が高いと言われています。
【重要】「勉強するなら音楽ダメ!」と思って勉強時間が減るくらいなら音楽聴きながらでも勉強しよう
というわけで、「勉強するときは、無音で勉強するのがベスト」という結論にはなるんですが、
個人的には、「勉強のハードルを上げない」ことも大事だと思っています。
つまり、「勉強するには音楽を聴いてはいけない」という条件があることで勉強のハードルが上がってしまうと、勉強が苦痛になったり、勉強時間が減ってしまうなんてことに繋がってしまうかもしれません。
個人的には、気乗りしないときは、音楽を聴きながら勉強を始めるのも全然アリだと考えています。
効率は落ちるかもしれませんが、勉強しないより遥かにマシでしょう。
なにより、やる気は「始めてから徐々に出てくるもの」と言われますし。
つまり、音楽を流してでもまず手を動かすことで、脳に「今は勉強モードだ」と認識させていくのがおすすめ。
というわけで、気分が乗らない日はこんな流れで始めてみるとどうでしょうか
- 気分を上げる音楽でウォーミングアップ
- (できれば少し音量を下げて)ゆるーく勉強スタート
- 集中状態に入ってきたら、音楽を止める
これ、実は「段階的集中モード」って呼ばれることもある、習慣形成のテクニックでもあります。
余談:好きな音楽で性格が分かる?
ちなみに、「好きな音楽で性格が分かるのでは?」というちょっと面白い話もありまして。
興味ある方はこちらの記事を読んでみてください↓
今週半ばの小ネタ:食物繊維めちゃ脳に良い説、好きな音楽で性格がわかる、4分で幸福度が上がる3つのエクササイズアラフィフ男がアンチエイジングについて考えるブログです。yuchrszk.blogspot.com
個人的には結構当たっていたんですが、みなさんはどうでしょう?
では、今回はこの辺で。
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